一般疑問・質問に答えます

Q:高山病ってどんな症状?

低酸素A室 一般的に、高山病の症状は頭痛、呼吸困難感、食欲不振、嘔吐など「痛み」や「苦痛」と考える方がほとんどです。そのような症状も高山病の一つですが、「痛み」や「苦痛」ではない状況もあります。
 高山病は別名「山酔い」ともよばれ、お酒も飲んでいないのに、酔っぱらった感覚になる事もあります。酔ったときに感じる「ふわーっ」「ぼーっ」とした感覚をはじめ、人によっては眠気や疲労した時のだるさの場合もあります。日常の感覚に近いこともあり、高所の影響によるものと区別がつきにくく、それが、問題でもあります。
 このような感覚の時に、「大丈夫ですか?」と声をかけると、ほとんどの人が「大丈夫です」と答えますが、実は高所の影響を受けている事に気づいていないだけなのです。その時に、早めに「呼吸法」「ゆっくり歩く」「水分補給」などの基本的な高所での対策を意図的に行えば、症状の緩和に繋がるのですが、ほとんどの方は「頭痛」「嘔吐」「呼吸困難感」などの解り易い症状にならないと「呼吸法」などの対策を行いません。基礎体力のある若者であれば、その状態からでも回復出来る可能性は高いですが、中高年者の場合は、「胃腸も弱り→食欲も落ち→基礎体力が落ち→気力も落ち」と悪循環にはまり、回復が難しくなります。
 このようにならないために、低酸素室で高所の感覚はどのようなものかを体験することが、大変重要です。その経験がなければ、肺水腫や脳浮腫など重篤な症状になり、命に関わる場合もあります。ここに挙げた症状も、個人により感じ方も変わってくるために、知識だけでは確実な対応は出来ません。自分自身が感じる高山病の症状とは何か、症状による対策はどうすればいいのかという事に対して、ミウラ・ドルフィンズの低酸素室で体験してください。

Q:高所テストはどうして必要なの?いつ頃受ければいいの

 高所に対する身体の反応は人それぞれ異なります。また、自分が正しいと思い込んでいる呼吸法が、高所で実際に酸素を取り込んでいるかは、通常の日常生活では解りません。
 そこで、高所での個人差の測定と、呼吸法の評価を行い、個々に合ったトレーニングプログラムを作成するためにも高所テストを行います。テストは初期の高山病が発症し易いといわれる高度4,000m相当で行います。一般の健康診断では見つからない、高所での危険性がわかることもあります。内容の詳細はこちらをご覧ください。
 一度、高所テストを受けて頂いた方でも、一年経過している際には再度高所テストを受けて頂きます。その時の健康状態などによっても高所に対する身体反応は変わってくるため、健康診断と同じような感覚で高所に出発する1ヶ月前までには受けた方がいいでしょう。
 あまり出発に近すぎると、高所テストにより疾病の疑いが出た場合に、それに対して医師に相談するなどの対応を行う余裕がなくなってしまいます。

Q:キリマンジャロへ行く予定です。何回くらいトレーニングをしたら良いですか?

 よくあるご質問ですが、上記のように、高所テストを行うことにより個々のリスクを明確化した上でアドバイスを行っております。まずは、高所テストをお受けください。

Q:パルスオキシメータってなに?

 血液中の動脈の中にはヘモグロビンという物質があり、ヘモグロビンが酸素を結合させて体中に酸素を送っています。パルスオキシメータを用いると、体内のヘモグロビンの何%が酸素を結合させているかがわかります(SpO2:動脈血酸素飽和度といいます)。
 通常の環境で健康な人の場合、年齢差・性差・体力差などに関係なく96〜100%を示します。通常SpO2は、全力疾走などで酸欠になっても90%を下回る事はありません。安静状態で90%を下回った場合は、医師は酸素吸入の処置を行います。
 このように日常生活ではまず90%を下回る事のないSpO2ですが、高所へ行くと酸素が少なくなるために、値は低下し、その変化には個人差が出てきます。数値が良くても、気分が悪いという方もいれば、低い値でも平気という方もおり、数値と感じ方にも個人差があります。登山を専門に取り扱っている旅行社の多くは、お客様の健康状態を把握するためにパルスオキシメータを持参しています。逆に、3000m以上の高所に滞在するツアーでパルスオキシメータを用意していない旅行社は、旅行者の安全性を軽視していると考えてもいいでしょう。

Q:高山病に効く薬があるってホント?

ダイアモックス(アセタゾラミド)という薬が、高山病予防として有効と言われています。ダイアモックスを摂取すると、呼吸中枢が刺激され、意識していなくても呼吸の回数が増え、高所での過度な酸欠を防ぐことが効果として認められています。しかし、デメリットもあります。
 ダイアモックスは、腎臓で血液を酸性にすることで呼吸中枢を間接的に刺激しています。その際、腎臓の機能を低下させるので、おしっこが出易くなります。高所では基本的に脱水になり易いうえに、さらにダイアモックスを摂取することで、血液中の水分量は減り、血液の粘度は高くなります。もしそのような状況で過度な運動を行うと、脳梗塞や心筋梗塞などの血管系疾患を発症し易くなることが考えられます。それゆえ、ダイアモックスを採る場合には、1日3〜4リットルの水分を採るように言われます。しかし、中高年者でそれを実践出来ている方は少ないのが現状です。
 また、血液が酸性になるということは、疲労を誘発することにも繋がります。例えば、激しい運動で疲労する事をイメージしてください。その疲労は、乳酸が直接疲労させている訳ではありません。乳酸が出過ぎたことにより、身体が酸性になり、エネルギーを発生させる回路を停止させる事で疲労に繋がっています。ダイアモックスを採ると、これと同じような状況になり、運動能力が低下します。
 このように、メリット、デメリットがあるにも関わらず、この薬さえあれば、高所で大丈夫と過度な期待をしている方を多いようです。最終的な使用の判断は、高所医学に詳しい医師へ相談しましょう。

Q:高山病について旅行会社に訪ねると、ゆったりとした行程だから安心ですよといわれました。本当ですか?

何を基準に「ゆったりとした行程」と主張しているかをよく調べましょう。下記の例で考えてみましょう。

例①クスコに3連泊でゆったり。マチュピチュとナスカの地上絵○日間

ほとんどのマチュピチュ旅行の場合、リマ(平地)からクスコ(3600m)へ飛行機で移動し、クスコに滞在します。一般的な旅行募集の表現としては、宿泊場所の移動がなく、バタバタせずにゆったりとなるのかもしれません。しかし、急激な標高変化がある時点で、行程としての高山病リスクは、高くなります。この方面の旅行であれば、リマからクスコに移動した初日に、クスコに滞在するのではなく、より標高の低いウルバンバ(2900m)に滞在する行程を組んだ方が、高山病リスクは低くなります。

例②高度順応日を多めに設定。ゆったりカラパタール登頂○○日間

通常のカラパタール登山の場合、ルクラ(2800m)から入山し、ナムチェ(3500m)で2泊、ディンボチェ(4400m)で2泊の高度順応日を設定します。これに加えて、タンボチェ(3900m)などで多めに高度順応日があれば、確かに標高の変化が少なく高山病リスクは低くなります。しかし、高度順応日を多く設定すれば、確実に登頂出来るかというとそうとも限りません。長期間高所に滞在することによる「高所衰退」の問題も発生してきます。
「高所衰退」とは、人間の定住限界を超える5000m以上に長く滞在することにより、体力が徐々に奪われていくことを言います。7000、8000m級登山の場合も、高度順応と高所衰退のバランスをどのようにとるかが登頂成功の鍵となってきますが、同じようなことは5000m前後を目指す登山者にも当てはまります。特に基礎体力の低い中高年者は、慣れない食事などの非日常生活によるストレスから、4000m前後でも高所衰退を起こる可能性が高いので、ゆったり登れば確実に登頂出来るとも限りません。

Q:食べる酸素は効果ありますか?

 市販品で飲んだり食べたりする酸素があるようですが、高所において効果的という根拠の学術論文は09年3月現在で出ておりません。酸素を体内に取り込む事は肺の役割です。呼吸法を上手にするだけでかなり効果はあります。

Q:高所テストや低酸素トレーニングは一度に何人まで受けれますか?

高所テストは一度に4名まで一緒に受けることが可能です。低酸素トレーニングは基本的に4名まで一緒に行うことが出来ますが、その日の設定高度やトレーニングの種類によっても異なりますので、ご予約の際にご相談ください。